髪のコンディションが悪くなるのは硬水に原因が
何が基準で軟水か硬水かを決めるの?
── 私自身もそうなのですが、海外旅行に出かけてシャンプーをした時に髪のコンディションが悪くなった気がします。
平山:私も同じです。その理由としては、海外の硬水が影響していると考えられます。
── 確かに日本は軟水で、アメリカやヨーロッパは硬水という話は耳にしたことがあります。そもそも軟水と硬水の違いとは?
平山:大まかに説明すると、水の中に含まれているカルシウムやマグネシウムといったミネラルの含有量の違いです。WHO(世界保健機関)が定める基準では、ミネラルの含有量120mg以上が硬水、120mg未満が軟水とされていて、日本は軟水が多いですね。これは地質や地形が大きく関係しています。日本は山の傾斜がきつい分、水の流れが速くなり、土壌の中のミネラルが水に溶け出すことなく純度が高い水が流れてくるんですね。
硬水はシャンプーの泡立ちにも影響を及ぼす
── なるほど。軟水と硬水の違いには、山の傾斜と水の流れの速さが関係しているんですね。日本を含むアジアは軟水が多いんですね。
平山:それが一概には言えないというか、例えば東南アジアのベトナムでも北と南で地形が異なるので、大陸や国というより地域によって変わってくるイメージですね。目安としてはアメリカやヨーロッパなど山の傾斜が緩やかで、ミネラルを含んだ水がゆっくりと流れる地域は硬水、逆に山の傾斜がきつく水の流れが速い地域はミネラルが少なく軟水という考え方です。
── 硬水でシャンプーをするから、髪のコンディションが悪くなるということですね。
平山:その通りです。硬水に含まれたミネラルが髪に残留して指が引っかかりやすくなったり、まとまりが悪くなるので乾燥したようなパサパサした見た目になってしまったり。しかも硬水は、髪だけでなくシャンプーの泡立ちにも関係しているんです。シャンプーの洗浄成分の主成分である界面活性剤は、陰イオン性というマイナスの電荷を持っていて、先ほど話したカルシウムやマグネシウムといったミネラルは反対のプラスの電荷を持っています。マイナスの界面活性剤とプラスのミネラルが引き合うことで、界面活性剤の機能が失われて水に流れにくくなり、髪に残留して手触りの悪さや頭皮環境の乱れの原因になってしまうんです。ちなみに、日本で好まれる優しいアミノ酸系シャンプーは、硬水地域では泡立ちが悪い傾向にあります。
シャンプーの主成分が溶けず、石鹸カスが付いた状態に!?
── 水質によって、シャンプーのパフォーマンスまで変わってしまうんですね。
平山:本来、界面活性剤はマイナスの電荷を持っているため水に溶けるんですけど、そのマイナスが失われてしまうので水に溶けにくく、流れにくくなってしまうんです。わかりやすく言うと、水に溶ける前の石鹸カスが付着しているような状態になります。
── 石鹸カスがきっちり洗い流されることなく残留すると。ということは、海外での滞在が長ければ長いほど、残留する量が増えるということですか…?
平山:そうですね。その可能性が考えられます。
コンディションを保つための3つの対策
対策①シャンプーの仕上げに軟水で髪をすすぐ
── 今お話いただいた髪に残留した石鹸カスに関して、落とし方というか、髪本来の質感に戻す方法などはありますか?
平山:私自身が旅行先で実践して効果があると感じているのは、軟水のミネラルウォーターで髪をすすぐこと。硬水でシャンプーをすると、先ほどお話したように髪にミネラルが付着してしまうので、軟水で流してあげるといった対策ですね。量は500mLもあれば十分なので、ぜひ一度試してみてください。
対策②コームを使ってトリートメントを浸透させる
── シャワールームにミネラルウォーターのペットボトルを持ち込んで、最後にさっと流す程度でいいんですね。そのほかにはどんな対策が考えられますか?
平山:特に硬水対策ではないんですけど、トリートメントを髪に馴染ませたあとにコームを通すこと。実はトリートメントって意外と髪全体に行き届いていないケースがあって、コームを使ってしっかりと浸透させるのが質感を保つケアとしては大事になってきます。こちらも同様に私自身も効果を実感していて、指通りが滑らかになりますね。
── 硬水、軟水に限らず髪のパサつきを防ぐという意味でも、何もしないよりはした方が良さそうですね。
平山:自宅では面倒くさくて毎日できないという方も、海外に行って髪の質感が気になるようであれば違いを感じていただけるかと思います。
── 今後アメリカやヨーロッパに行く機会があれば、私もペットボトルの水を常備しようと思います(笑)。
対策③ドライシャンプーを代用する
平山:そのほかに考えられる対策としては、頭皮状況にもよるのですべての方に当てはまるわけではないですが、シャンプーをする頻度を減らして合間にドライシャンプーを使うというのも一つかなと思います。
── なるほど。ただ、パサつきが気になる一方で、シャンプーの回数を減らすことに抵抗がある気も…。
平山:それも理解できます。日本人は、湿度が高いことやそもそもの皮脂分泌量が多いこともあり、毎日シャンプーする習慣がついているんです。対して比較的湿度が低い欧米では、硬水によって髪がごわついてしまうということもあり、毎日シャンプーする人の割合が日本人より低いと言われています。毎日シャンプーしたいところですが、硬水環境でどうしても髪のごわつきの方が気になってしまう場合は、髪のコンディションを優先するという意味でシャンプー頻度を減らすのも手だとは思います。
── 髪と頭皮バランスを掴むのが大事なようですが、こちらも試してみる価値はありそうです!
硬水地域で試したい研究員おすすめのアイテム
トリートメント効果も期待できる炭酸シャワー美容液
──3つの対策を教えてもらいましたが、続いて硬水地域でおすすめの製品を教えてください。
平山:〈エステシモ〉の「セルサート リウェイク シャワー」ですね。頭皮をすっきり整える炭酸シャワー美容液なんですが、トリートメント効果もあるのでおすすめです。
── 汗や頭皮のニオイケアに関するコンテンツでもおすすめしてもらいました。頭皮のニオイや髪のベタつきが気になる時に、外出先でもさっと気軽に使えるアイテムですよね。
平山:はい。ただ、脂性肌の方は皮脂が酸化して刺激になるという懸念があるので、硬水地域に行った際はこちらのアイテムだけに頼るのではなく、あくまでシャンプーと使い分けるのが良いと思います。
ミルクとオイルのいいとこ取りをしたヘアトリートメント
── 今教えてもらったトリートメント効果で言うと、ミルクやオイルに関してはいかがでしょうか。
平山:髪のパサつきを軽減し、しっとりとまとめるというところでは、まさにミルクとオイルのいいとこ取りをしたような〈ルベル〉の「ルベル ワン エマルションオイル」がおすすめです。髪の潤いバランスを整える乳液オイルで、ミルクのしっとり感とオイルのさらさらした手触りの両方を実感していただけると思います。
── 硬水対策としても期待できそうですね。いつ髪に馴染ませるのがいいんですか?
平山:タオルドライした髪に塗布し、そのあとドライヤーで完全に乾かします。指通りが滑らかになって、いつもオイルやミルクを使われている方は一度お試しいただきたいですね。
── 翌朝のごわつき、きしみも軽減されそうですね。こちらも旅行の際には忘れず持って行こうと思います!
平山:普段、アウトバストリートメントを使う習慣がない方でも旅行をきっかけに試してみて、快適に過ごしてもらえたら私たちも嬉しいです。
── 今日は硬水と軟水の違いや硬水地域での髪のコンディション対策、おすすめのケア製品など、たくさんのお話を聞かせていただけました。読者の皆さんも、海外旅行に出かけられる際は今回の記事を振り返りながら、現地でストレスなく楽しんでくださいね!
TEXT_Yoshio Horikawa(TRYOUT)
ILLUSTRATION_Toshiya Kawashima(TRYOUT)
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